日商簿記2級に合格したものの未経験だし経理への転職はできるのか不安
このような方も多くいらっしゃるかと思います。
今回は、未経験でも日商簿記2級があれば経理への転職に有利になるのか、また未経験で転職する場合に注意するべきポイントについて解説いたします。
未経験でも日商簿記2級があれば経理の転職に有利
日商簿記2級を採用の要件にしている企業も多いです。
転職市場は、年齢によるところもあり20代であれば未経験無資格でも採用対象となる可能性がありますが、30代資格なしとなるとなかなか厳しくなります。
日商簿記2級は合格率が20%程度で簡単ではない試験のため、30代に入り未経験で経理職に転職する場合はある程度本気の姿勢というのが求められますが、そういった時に日商簿記2級の資格がプラスになります。
経理求人は「日商簿記2級保有者歓迎」が多い
私の調べでは、求人ボックスで「簿記2級 未経験」と検索したところ10,006件求人数がありました。(2022年9月15日時点)
実際の求人を確認すると、次のようなものがありました。
【税理士補助】日商簿記2級必須!金融・保険出身の方を求む!若手の人材教育に力を入れている税理士法人
給与
年収300万円〜500万円
職種
税理士
この求人のポイント
税理士補助として、会計ソフト入力、書類作成、クライアント訪問、アシスタント等を担当していただきます。大阪市福島区にある、未経験者歓迎!若手の人材教育に力を入れている税理士法人の求人です。
仕事内容
【募集背景】
事業拡大・組織強化のために人材を募集します!
【業務内容】
◆会計ソフト入力
◆書類作成
◆クライアント訪問
◆アシスタント
◆電話・来客対応 等
【働き方・働く環境】
未経験を育てていきたいとの思いが強く、教育体制もしっかりと整っている点が特徴です。
雇用形態
正社員
ポジション
税理士補助/未経験者(金融・保険業界出身者)/日商簿記2級必須
上記のように、日商簿記2級必須という条件という企業が多く見られます。
実際の応募要件からも日商簿記2級が転職市場において有利な資格であることはお分かりいただけると思います。
日商簿記3級だと採用時の評価は低い
経理未経験で日商簿記3級しか保有していない場合、採用時の評価は低くなり2級保有者と比較しても圧倒的に求人が少ないです。
3級の合格率は50%程度に対し、2級は20%程度のため3級を保有していてもそれほど有利になるわけではありません。
しかし、3級は2級の土台となる知識であることには違いないので3級を取得することにももちろん意味はあります。
【ネット試験に対応】日商簿記3級の勉強方法 必要な勉強時間からおすすめテキストまで紹介
【体験談】日商簿記3級ネット試験ってどうなの?受験してきた感想について
3級も簡単ではありません。
日商簿記1級の取得は必須ではない
未経験で経理へ転職を目指す場合、日商簿記1級の取得は必須ではありません。
日商簿記1級を取得していても、経理として働いた経験がなければ実務レベルはそれほど変わらないからです。
1級を取得すると、食いっぱぐれることはないと思いますが、経理として転職を目指すなら2級保持者の場合、1級を目指すよりも実務で必要なPCスキルなどを高めたほうがいいでしょう。
日商簿記2級を持っていないと経理に転職できないのか?
20代はポテンシャル採用の可能性がある
20代で経理未経験の場合、日商簿記2級を取得していなくてもポテンシャル採用される可能性があります。
資格を取得していないからといって、経理への転職を諦める必要はありません。
経理として実務経験を積みながらでも日商簿記2級の取得は可能です。
むしろ実務経験があったほうが簿記の理解も深まり合格しやすくなるでしょう。
30代・40代で経理未経験なら日商簿記2級は必須
30代以降で実務未経験の場合、資格取得は必須と言えます。
できれば、経理経験は無くても金融出身で会計に関する知識を身につけていたり、営業経験豊富でコミュニケーション能力に長けているなど、何かしらの強みが欲しいところです。
また、30代以降で特に35歳を超えて未経験で転職を考える場合、どうしても経理の仕事にこだわるのであれば、正社員ではなく契約社員や派遣社員を検討することも必要でしょう。
契約社員や派遣社員は正社員に比べて採用のハードルが下がりますので、たとえ未経験であっても、何かしらのポテンシャルや経験で評価され、採用となるケースは多々あります。
そこで一度経理としての経験を積んでから、正社員を目指すというのも一つの有効な手段となります。
即戦力となる知識・スキルが求められる30代以降は20代とは転職事情が大きく変わります。
そもそも経理の仕事内容とは
簿記2級の資格が経理に役立つ事がわかったところで、経理の仕事内容をもう一度確認しましょう。
具体的な仕事内容は以下の通りです。
・仕入れに関するお金の管理(仕入管理、売掛金管理)
・売り上げに関するお金の管理(売上管理、請求書・領収書発行)
・現金や預金の管理(現金・預金・小切手・手形の管理)
・会社の財務状況をまとめる(月次決算、年次決算)
・会社の資産をお金に換算(原価償却)
・給与や社会保険料の計算(給与計算、年末調整、社会保険料計算)
・税金の計算(法人税・源泉所得税の計算)
大まかに言うと、経理の仕事は「会社におけるお金の流れを数値化して管理する」ことです。
ひとつひとつの業務内容は地味な印象を持たれやすいですが、実際には会社全体の経営を判断する大切な役割を担っていると言えます。
日次業務、月次業務、年次業務と呼ばれる各サイクルに応じた仕事内容になっていて、その中で正確に数字を管理していく必要があります。
経理業務を初めて行うという人は、小口現金管理や経費精算、請求書発行などの日次業務から始めていき、経験を積むに連れて、月次業務や年次業務など徐々に高度な仕事を任されるようになります。
計画を立ててその通りに実行していくというルーティンワークが好きな方にはより適性があるのが経理業務と言えるでしょう。
経理で日商簿記2級が求められる理由
それでは経理の業務内容に、なぜ簿記2級が役立つのでしょうか。
商工会議所の検定試験のホームページ上には、簿記について以下のように記載されています。
簿記とは、日々の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技能です。 簿記を理解することによって、企業の経理事務に必要な会計知識だけではなく、財務諸表を読む力、基礎的な経営管理や分析力が身につきます。また、ビジネスの基本であるコスト感覚も身につきますので、コストを意識したができるとともに、取引先の経営状況を把握できるために、経理担当者だけではなく、全ての社会人に役立ちます。
商工会議所HPより
そもそも簿記とは?合格率はどれくらい?仕事に活かせられるのか?【初学者向けに解説】
上記のように、簿記を持っているということは、経理事務に直結する会計知識や数字を読み解く力があると判断されます。
簿記は初級、3級、2級、1級とレベル分けされていますが、中途採用で有利になるのは「企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベルに達している」と判断される簿記2級からとされています。そのため、企業側も「簿記2級以上の資格を保有している方歓迎」という条件を出しているのです。
簿記2級を保有していることで、先ほど上述した経理の具体的な仕事内容における基礎知識は持っていることになりますので、たとえ未経験であっても、知識がない人に比べ実務経験を積むことでスピードを持ってスキルアップしていくことができます。
日商簿記2級保有者で経理未経験の場合の年収はどれくらい?
未経験から一般企業の経理職として転職した場合、簿記2級程度以上のスキルを持っていたならば、年収目安は300万円程度となります。
1~2年ほどの実務経験を積んだ場合には300~450万円程度、3年以上の実務経験を積めば350~600万円程度が目安となっていますので、いかに実務経験が重視されているかがわかります。
未経験時には簿記2級相当のスキルに対するポテンシャルが評価されており、実務経験は貢献度の評価として上乗せされているとイメージすれば、よりわかりやすいのではないでしょうか。
未経験から会計事務所へと転職した場合には、20代で300万円程度、30代で350万円程度が入社年度の年収目安となります。
会計事務所の場合、1年勤務するごとに1万円昇給することが多いため、勤務年数に応じて月給が増えるほか、上位資格の取得によって大きく年収がアップします。
未経験で経理に応募する際に気をつけるべきこと
バックオフィス業務の求人案件は人気があり、業務内容もイメージしやすく、好きの汎用性も高い経理の求人は特に人気があります。
即戦力として活躍できる経理担当者を獲得するのが主な狙いである転職市場において、どうしても未経験者の転職は、経験者以上に難しいでしょう。
転職市場にも経理経験者はたくさんいますので、即戦力を求める企業の採用担当者が誰を採用するか比較検討したときに未経験者がどうしても見劣りしてしまうのはやむを得ません。
実務経験が大きく問われる経理の中途採用において、未経験者が経験のなさをいかにカバーするには自己PRとしっかりとした志望動機で熱意をアピールできるかが鍵になります。
まとめ
経理は一見単純作業が多い仕事に見られがちですが、会社の経営を左右する重要な仕事です。
求人数自体が比較的少なく狭き門でありますが、未経験でも簿記2級の資格と熱意があれば内定を勝ち取る事ができます。
転職エージェント等を上手に活用しながら、効果的な転職活動対策を行いましょう。